線をベースにした少女ポートレートシリーズ

11月7日から大槻香奈個展「君を幸せにする」がスタート。出展作の少女ポートレート作品について語ります。
大槻香奈 2026.11.06
誰でも

いよいよ11月7日から、南青山の白白庵にて大槻香奈個展「君を幸せにする」がスタートします!白白庵では2年ぶりの個展になります。(会期は11月15日まで。木曜休み)

本日は今回の出展作品のひとつである少女ポートレートシリーズについてご紹介したいと思います。

少女ポートレートシリーズ(撮影: 白白庵)

少女ポートレートシリーズ(撮影: 白白庵)

少女ポートレートは2009年から同じサイズでずっと作り続けていて、主に紙にアクリル絵具で描いている私の代表作となるシリーズです。

私は「うつわ」という概念をテーマに作品制作をしていますが、少女ポートレートシリーズは日々変容する人間の身体や、人物のキャラクター性を、そのうつわの内部からではなく外側(表層)から表現することを追求していて、今回はそういったことをわかりやすく、絵の中で輪郭線を引くことで叶えようとしています。

「美しい日々」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆(撮影: 白白庵)

「美しい日々」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆(撮影: 白白庵)

不安定な時代に生きる私達にとって、未来への希望を夢想することは難しいかもしれません。けれどもそれを明確なイメージで絵にすることができれば、それは「そこにあるもの」として現実化することができます。ポジティブな予感を表現することは現代において芸術家の大切な、そして最も難しい仕事のひとつと考えています。夢や希望を確かなものとするために、本来この世に存在しないはずの「輪郭線」を絵の中で明確に引いています。このアプローチは2年前の白白庵個展では見られなかったものでした。

ちなみに2年前の白白庵でのポートレート作品はこちらです。(↓写真が小さいですが、現在のアプローチと全然違います)

大槻香奈|11月7日〜15日|白白庵個展
@KanaOhtsuki
お客様に「作品良いなと思ってはいたけど、ここまで良いとは思ってなかった」と言って頂けて本当に嬉しい。何度も通って下さる方が多い。本日最終日。心よりお待ちしております。 #死んじゃいけない星
2024/05/06 10:03
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「時をこえる」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

「時をこえる」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

少女ポートレートシリーズに限った話ではありませんが、この線画をベースにした絵画の物理的な構造についてざっくりご紹介しますと、まずパネルに紙を水張りした上にカラフルなアクリルの下地を作り、その上に色鉛筆で線を引き、アクリルでペイントしているという形になります。制作過程でときどき絵の表面にヤスリがけをするようにしていて、そうすると元々下地になっていたアクリルのカラフルな色達が表面化し、それによって焼き物の「うつわ」の質感のような風合い、景色が生まれます。(原画でご覧いただきたいポイントになります)

「うつわ」というテーマは、描こうとするモチーフそのもの(少女やキャラクター)に対しても、作品から受ける感覚的な部分(空虚さや中身の見えないアプローチ)についても、あるいは絵画の表面の質感(焼き物のうつわのような)にしても、あらゆる角度から反映、表現しようと試みています。私がうつわの中身より外側、表層を捉えることに拘るのは、その輪郭線を豊かに表現できれば中身は自然と受け手が補完してくれるもの(想像してくれるもの)と考えるからです。うつわの内側ではなく、外側の確かさに物事の本質をみています。

「世界は◯△◻︎♡」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

「世界は◯△◻︎♡」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

社会的にも生物的にも、何者でもなく何者でもあり得る子供時代を生きた自分にとって、「少女」モチーフは永遠に揺らぎのある存在です。少女時代は確かさがどこにあるのか自分でも分からなかったので、描いて確かめる必要があったのです。そして自分のそのような表現を、同じく少女時代を生きる(生きた)人達へ、あるいは少女のような揺らぎある状態にある人達へ、確かな心強い存在として届けたいと思って、これまでずっと描いてきました。

「光と風」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

「光と風」2026年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

それから、今回重要なモチーフとして「花」があります。それについては先日、白白庵さんからインタビューを受けましたので、よろしければお読みいただけましたら幸いです。

きのう会場の設営を終えたのですが、やはり絵画に花モチーフがあると会場がとても華やかになります。花モチーフには祝福感と、ただそれだけではない静けさと揺らぎがあって、個展会場はおそらくちょうどよい温度感になっているのではないかと思います。日々の祝福はある種の心の静けさと共にあるというのが私の考えです。(ちなみに会場は1階と3階の両方で作品展示しておりますので、お越しの際はご注意ください)

「きらり」2025年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

「きらり」2025年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

「終わりの始まり」2025年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

「終わりの始まり」2025年 455×333mm 紙・アクリル・色鉛筆

そしてこちらの「きらり」「終わりの始まり」は比較的細くて美しい線(特に前者)を出したくて描いた作品になります。

後者はアクリル絵具の水色の線が絵にのった時の気持ちよさがあります。実際はその水色の線を避けるようにして人物の色鉛筆の線を引いています。なぜなら色鉛筆と絵具は混ざり合うことなく反発しあうため、いくら色鉛筆の上から絵具を塗っても色鉛筆の線が浮き出てしまうからです。こちらの構造はぜひ原画で観ていただけましたら幸いです。

***

さて、そんなわけで今回は代表作のポートレートシリーズのご紹介でした。明日より会期中、オンラインショップでも全作品が公開されますので、遠方で会場に来れない方もぜひ以下よりご覧いただけましたら幸いです。

会場には土日を中心に在廊いたします。皆様のお越しを心よりお待ちしております。そして祝福感に満ちた作品の数々をどうぞ存分にお楽しみください!

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